北海道阿寒郡阿寒町大字仁仁志別

・・・・・ 開 墾 ・・・・・ 
   

とりあえず木を切らなくちゃ、何も始まらない…。
というか始めることができない…。


地方によっても違うでしょうが、仁仁志別あたりの雑木林は 大体1坪に1本くらいの割合で木が生えていたように記憶しています。
直径は大体20センチ~60センチくらい様々。高さは3メートルから7, 8メートルくらい。
木の種類は、楢、ぶな、その他もろもろ雑多…。
ゆえに雑木林と言います。

それに対して、植林された林は 一つの種類に統一されており たとえば、赤松やとど松などです。
当時は '学校植林コンクール' というのが有りまして、柘植広は毎年仁仁志別において、全国でも有数の成績を修めていました。
あれから、約50年が経っていますから、 当時植えた松の林はさぞかし立派に 成育していると思われます。
僕も松の植林に随分行きました……。


さて、雑木林ですが、先ず、のこぎりで地表30センチくらいのところを切ります。直径20センチの木だと、約15, 6分で切り倒せます。
その次に、太い枝はのこぎりで、細い枝はナタで、落とします。切り倒した1本の太い木を、約30センチくらいの長さに 揃えます。
次に、その30センチの長さの丸太を今切り倒したばかりの 木の切り株に立てて、マサカリで4分割します。
それらを直径50センチくらいの針金の輪に詰めていきます。

その直径50センチ位の輪に薪を詰める作業がまた、慣れないと難しいのです。
10年後に経験する、ちり紙交換で集めた新聞を 約60キロの束に纏める作業と同程度の難易度でしょうか…。

薪の場合は、針金の輪を地面において、円の外側から埋めていきます。
針金の当たる部分は木の丸い部分(表面)で揃えます。
そして中に、残りの薪を詰めていって、針金の輪と薪のバランスを整えます。

このあとが難しいのですが、その輪を持ち上げても薪が崩れ落ちないように 薪をみっしりと詰める必要があります。
適当な、太さに薪を切って調整して、その輪の中へ 最後の1,2本を マサカリの頭のほうでコンコンコンと叩いて入れます。
力が強すぎると針金はプチッと切れて最初からやり直しです。その加減を覚えるまでが大変です。

完成したものを '文化薪' と呼び、町へ持って行って売ることも出来ますが、柘植の家では冬の燃料にしていました。


やり方を一応、一通り、安子が説明してくれましたが 初日から、全部 自分1人きりで始めた為、随分時間が掛かりました。
慣れないことも一つ一つコツコツと忍耐強く続けると いつしか上手になるものなのです。
最初の1本を倒して薪にするまでに、半日くらいはかかったでしょうか……。





振り返ると、雑木林は立ちはだかっています。
   
ああ、大変だなあ……


                                   (続く)

 

 

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