師匠・高柳 昌行さんとの思い出

 

 

あれから 家にある スィングジャーナルを 注意深く 読みました。

 

今の若い方には なじみが薄いかもしれませんが、

読者の人気投票コーナーというのがあって 

高柳昌行さんは 長年にわたって 日本ジャズギター界の スーパースターだった沢田駿吾さんと

1位、2位を 分け合うという人なのでした。

 

日本ジャスギター界での 高柳昌行さんは 

鬼才とか 孤高の人とか、 

とにかく人気があり 知性的で 鬼のような 怖い人・・・・

という風に 捉えられているようでした。 

 

 

『これは大変だ・・

来週から 大変だぞ!

今まで 軽い返事をして 失礼が無かっただろうか・・・・』

色々 反省してみました。

 

最終的には あの電話面接に 受かったんだから まあいいんだろうな・・・・・・・と、

自分で自分を納得させました。

 

 

 

さて、次のレッスンの日が来ました。

 

 

「おはようございまーす!」

 

「おう 上がれ」

 

といつものように 先生は言いますが 僕にはその 「おう 上がれ」という 響きが

いつもと全然違って聞こえて 

本当に上がっていいものかどうか、迷っていました。

すると先生は 玄関まで出てきて 「おう 宮崎 どうした?上がれ!」

といわれて ハッと我に帰り 「ハイ!」と言って 部屋に はいりました。

先生は「どうしたんだ?宮崎。いつもと違うなぁ。」

 

僕はレコード屋でレコードを探しているとき たまたま 先生のレコードを見つけ

家に帰って よく読んでみたら・・・という先週の出来事を詳しく話しました。

すると 高柳さんは 笑って 

「オレが 町のギター教室の先生か! ハハハハハハハ・・・

お前も 変わったやつだなあ。」 と言って 何事もなかったかのように

「さあレッスンやるぞ」と、

いつもの雰囲気に戻りました。

 

それからは 一言一言を 聞き漏らすまいと 先生の言葉に

全神経を集中させるようになりました。

 

 

当時の僕にとっては 毎週月曜日、 高柳さんの レッスンが 人生の全てでした。

  

 

懐かしく 思い出します・・・・・・

  

 

続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

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