師匠・高柳 昌行さんとの思い出

 

 

奥の方から 初老の紳士が こざっぱりした身なりで 出てきました。

「はいはい どなたですか?」

『高柳昌行さんのところで ギターを習っている ミヤザキといいます』と 言おうとしたのですが、

高柳・・・といったところで

 

 

「あ~あ~わかりましたよ。教則本ですね。

どうもご苦労様です。

かわいいねぇ。 

ギター 一生懸命 練習しているんですか?」  と言って 僕の言葉を さえぎりました。

 

と、いうことは 『僕の前に 何人も 教則本を買いに来ているんだな。』 と思い 

妙な安心感を 覚えました。

 

 

今になって 思うのですが、玖島さんと 高柳さんは 本物だけが知り得る 

深い友情で 結ばれていたのかもしれません。

 

玖島さんの立場から考えれば 相当嬉しい事だったに 違いありません。

何せ 自分が書いた 教則本を 人数が少ないとはいえ 遠くから 買い求めに来る・・・・

 

しかも それが 皆      若くて    利巧そうで   ハンサムで    背が高くて  

スタイルが良くて   イケメンで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ちょっと 脱線しましたが 

 

そういう思いが 玖島さんの 「はいはいわかりましたよ」 という

優しい物言いの はしはしに 溢れているのを、

多感な 宮崎青年は 見逃しませんでした。・・・・・・・・・・・・・・・   と、いうのは ウソです。

今だから わかるのです。

 

玖島さんは 僕にはとても 優しく接してくれたように 思います。

  

 

さて、手に入れた教則本を 大事に小脇に抱え 地下鉄に乗り 荻窪の自分の家まで急ぎました。

 

 

家に着き 机に座り 教則本を開いて じっとみつめて 

よし! 今日からこれを やるぞ!!

と思うと 僕はプロのギタリストになるんだ!! という想いが 

またもや 強烈に湧き上がって来ました・・・・・・・

 

 

続く

 

 

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