師匠・高柳 昌行さんとの思い出

 

 

緊張した気持ちで 四ッ谷駅の改札を出て、

メモに書き記したとおりに 四谷の町を進んでいきました。

 

たどり着いた先は 外階段のついた古いアパートでした。

 

その前で 立ち止まり この2階が 高柳さんっていう人の 家のはずだ・・・・・

自分の立っているところから 表札の文字までは見えなかったので 

その外階段をしのび足で 音を立てないように そぅっと 上がっていきました。

 

表札を見ると 確かに 高柳 昌行 と書いてあります。

その隣に 道子って書いてあった様に記憶しております。

 

何故かその時は また一度階段を降りて もとの場所に戻り 大きく深呼吸を一つして

よし!行くぞ! と自分に 言い聞かせ また外階段を昇って行きました。

 

インターホンを押しました。(?)

「おぅ 上がれ!」

背が小さめで ちょっと小太りで 丸顔で

目がギョロっとしているが どこか愛嬌のある人が 目の前に立っていました。

印象としては 優しそうな おじさん・・・・・

 

高柳さんが35歳 僕が20歳の 出会いでした。

 

「私は 弾いて見せてやることはできないが 

どのようにすれば ギターを合理的に弾く事ができるか、を知っている。

それを教えるが、それでも良ければ 来月から レッスンに来なさい。」

 

「はい、わかりました。」と言って 高柳さんのお宅を あとにしました。

 

 

後になって 先生から聞かされたのですが

最初の電話が 弟子にするかしないかのテストだったのです。

電話のかけ方、話し方、話す内容の確かさ 等々 チェックされていたのです。

 

「じゃぁ 先生 あの時 僕は 合格したのですね?」

「だから今 ここにいるんじゃないか 宮崎は・・・」

「不合格の場合はどうするんですか?」と訊くと

ガチャっと電話を切る仕草をしました。

へぇーーー厳しいなぁ・・・と思いました。

 

先生には 弟子が沢山いました。

先生との出会いの仕方は それぞれ 千差万別だったと思いますが

僕の場合は 電話でのテストでした・・・・・・・・・

 

 

『電話 面接』の項 終わり

 

 

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